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「見えない波」ー震災以降「言葉」を探し続けてきた作家の古川日出男、詩人の管啓次郎と石田瑞穂の3人が、世界の人々と語る

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「見えない波」ー震災以降「言葉」を探し続けてきた作家の古川日出男、詩人の管啓次郎と石田瑞穂の3人が、世界の人々と語る

翻訳者のお仕事

こんにちは。お天気にめぐまれたゴールデンウィーク、いかがおすごしですか。

古川日出男さんの『ベルカ、吠えないのか?』『馬たちよ、それでも光は無垢で』はフランス語訳が刊行されているのですが、いずれもパトリック・オノレさんが翻訳されています。オノレさんは、古川さんや夢野久作のほか、綿谷りさ、川上未映子など小説にくわえ、手塚治虫、水木しげる、谷口ジロー、萩尾望都など漫画の翻訳も手がけていらっしゃいます。オノレさんのすばらしい訳で日本語文学のよい作品に出会えたという声も聞きました。現代日本語文学、漫画のフランス語の翻訳の第一人者でいらっしゃいます。

そのオノレさんに、インタビューをお願いしました。日本語とフランス語の架け橋であるオノレさんのお言葉をどうぞ。

*—*—*

1.日本語を勉強したきっかけは ?

もともと言語学が好きで、当時のフランス(80年代)でまだ話せる人が少ない言語を学んでみたいと思ったのがきっかけです。

2 .はじめて読んだ日本文学作品は ?

夢野久作の『ドグラマグラ』です。

3 .フランスは他のヨーロッパ諸国に比べて、日本文学が広く読まれている と思うが、フランス人が日本文学を好む理由は ?

これは、「フランスだから」「日本だから」という問題ではないと思います。あくまでもこれまでの歴史、社会の歩みが背景にあって、過去約30年間にわたり、フランスでは日本文学が比較的多く翻訳され、紹介されてきたわけです。おそらくは、これからも。

4. 文学を朗読するこということについて、つまり文学の音、声という側面 についてどう思われますか?

自分自身について言えば、あまりいい朗読者ではないと思っています。そもそも人前で声を出す訓練を受けていませんし、声自体、あまりいい声ではない気がしています。しかし、声の表現力をたくみに使い、常に熱い情熱を込めて朗読をする古川日出男という作家とともに彼の文章を人前で読むという体験を経て—―最初は2012年にパリで行われたサロン・ド・リーヴルでの朗読。続いて2014年2月、フランスのアルルとエクサンプロヴァンスという街で、翻訳学校の主催するイベントで朗読をしました—―徐々に朗読することの喜びがわかってきました。なんというか、あまり力まず、シンプルに、つまりもっと自然体で読めるようになったということです。個人的には自分の翻訳文を人前で読み上げるという行為自体は、あくまでも作家自身による原文の朗読を補うだけでそれ以上の意味はないと考えています。さもなければ、演出や演技が必要になってきてしまう。それはまた、別の仕事のはずですから。

2014年3月にリール第三大学で行われた古川日出男の朗読(1)はたいへんな盛り上がりを見せました。今回私は舞台には上がらず、観客の一人として参加し、フランス語訳の朗読はある日本人の先生(2)が、担当してくれました。古川さんはこの日、朗読作品として『馬たちよ、それでも光は無垢で』を選んだのですが、あの日の彼の朗読はほぼ即興だったのにも関わらず非常に素晴らしいものでした。最も緊張感が高まるフレーズに差し掛かったときのこと、なんと思わず彼の東北弁が出てしまったんです。当然そのことに気が付いたフランス人はわずかだったはずです。しかし日本語がわからない人々にさえ、その瞬間の「熱」はたしかに伝わっていました。
(翻訳:スタッフM)

(1)この朗読は「見えない波」プロジェクトとは独立して行われたものです。
(2)リール第三大学の杉江扶美子先生です。

*—*—*

異なる言語圏へ作品が紹介されるとき、翻訳者(紹介者)の役割はとても大きいと思います。
ツアーをとおし、古川さんとオノレさんの幸運な例を知ることができました。

オノレさん、どうもありがとうございました!

(スタッフS)