COUNTDOWNはチャレンジを厳選した国内唯一のグローバルクラウドファンディングです。

米国イリノイ大学へ!41年の歴史ある奨学制度を未来に引き継ごう!

社会貢献したい

米国イリノイ大学へ!41年の歴史ある奨学制度を未来に引き継ごう!

南部俊人さんの2018年1月奨学生レポート

皆様こんにちは。42期奨学生の南部です。皆様、いかがお過ごしでしょうか。キャンパスは寒い日が多いですが、少しずつ春が感じられるようになってきました。しかし昨晩は雪が降ってまた真冬に逆戻りし、キャンパスは真っ白になっており、今週はかなり寒いです。今回の奨学生レポートでは、秋学期の授業の感想と、今学期の履修状況、冬休みのことについて書きたいと思います。

1. 印象に残った秋学期の授業の感想:

PSY336 Stress and resilience in Childhood:
前回の奨学生レポートでも軽く紹介しましたが、子供のストレス、心的症状について、そしてその解決、予防法についての授業です。ストレスの原因として虐待、貧困、トラウマ体験などが取り上げられました。メキシコからの不法移民の子供達が直面する困難についても扱い、アメリカならではの問題を目の当たりにしました。そしてこの授業では「どうしたら解決できるか」にかなり焦点が当てられていました。個人にフォーカスではなく、ある一定のグループを対象として対してどんなアプローチをしたら効果的に解決できるか、具体的にすでに行われている国家政策の概要とその効果についても学びました。そしてその解決を目指す上で重要だと感じたのが、以下の2点です。

1点目は、科学的なモデルの重要性です。心理的症状が起こるには、何か原因が存在します。なにが原因、独立変数independent variableで、何が結果、従属変数dependent variableかをはっきりさせることを教えられました。この独立変数、従属変数というモデルは、心理学の実験の授業で学んだ科学的なものでした。そして、原因がどのように結果に作用しているかというModeratorと、原因と結果の関係を弱めたり強めたりしているものMediatorはなんなのかをはっきりさせる、ということも教えられました。このModeratorとMediatorという概念は初めて学んだものでしたが、秋学期の履修していたもう一方心理学の授業でも取り扱われました。今まで日本の大学ではいくつか臨床の授業を履修していたものの、あまり科学的なモデルにはフォーカスしていなかったため、今までとは違った新たな視点から学ぶことができたと思います。

2点目は、症状そのものを治すのではなく、根本から変えていくことの重要性です。この授業のタイトルにもあるResilienceとは、ストレスを受けてもそれに対して抵抗していく力という意味で、どうすれば子供を取り巻く大変な状況から彼らを守れるかということについて考えました。何か起こったらそれに対処する、という従来の医学モデルからより予防的なPositive psychologyへの転換によって根本から変えていこうという姿勢で、具体的には、学校やキャンプなど、医療現場ではなくもっと身近なところで心理教育を行っていこうという動きや、貧困家庭にむけた親子プログラム、移民の子供の支援プログラムなどについて学びました。この、予防するという姿勢は私がICUで教わっていた臨床心理の先生が言っていたことと同じでしたが、改めて重要だと感じました。ICUで受けた授業はどちらかというと、強いこころを育てるという心理教育に重きが置かれていましたが、こちらでの授業は制度的な支援で環境を変える方を重点的に学びました。そして、期末では授業で学んだことをもとに、心理的症状を改善するための自分で予防プログラムを提案するという怒涛の10ページに及ぶレポートが課されました。まず、どんなグループを対象とするかから考え始め、そのグループがどんな問題を持っているのか、その問題によって何が起こるリスクがあるのかを分析し、対策を考えます。私の場合は、貧困家庭の子供を対象として、行為障害による学校でのトラブルのリスクに対して、小学校入学時から1年間にわたり学校で課外活動を通じてコミュニケーション能力を高めるというプログラムを作りました。最初からかなり難航しましたが、教授に相談したりしながら、提出日の前々日(前日ではないのがポイントです)には図書館に夜通し籠って書き上げました。

2. 今学期の授業について:

PSY420 Theory of Psychotherapy
心理療法について学んでいます。古典的な各学派の概念から、実際のセッションで使われる技法まで、幅広くカバーしています。日本でも、こちらに来てからも、今まで臨床系の授業は履修しましたが、いくつかはあまり技法的なことは授業で扱ってこなかったので、今回しっかり身につけたいと思います。

CMN368 Sexual Communication
性に関するコミュニケーションを促進する、という授業です。恋人に求める要素や、男女の生物学的差異、社会の中での男女のステレオタイプなど、多くのトピックが扱われます。日本では性にまつわることはあまり扱われないように思えますが、こちらはとてもオープンな授業です。私が学んでいる心理学の興味分野の一つである精神分析においては、異性との関わり方、異性に抱く感情などがたびたびトピックに上がるため、卒論のテーマとしても考えており、そのための理解を深めようとこの授業を履修しています。

PSY245 Industrial Organization Psychology
仕事における心理学の応用がテーマの授業です。仕事場においてどうすれば作業効率をあげることができるのか、どうすれば組織としてのまとまりが生まれるかなど、ビジネスに関係する問題を扱っています。以前から興味はあったもののまだ勉強できていなかった領域のため、今学期履修できるということで期待しています。仕事の出来具合を測ったり、質問紙により仕事の満足度を調査したりと、量的調査がほとんどであるため、オーソドックスな心理学の実験方法が用いられます。この授業でも先学期の心理学の授業で習ったMediatorとModeratorが早速でてきました。また、仕事場の生産性などついて調べるためには、それがどのような仕事であるかも分析もします。授業で扱ったものでは、例えば、捜査官だったらそれはどういう仕事で、どんな能力が求められて、といった具合で、中学高校時代にやった職業調べの進化版、といった感じです。また、現在就活をする上で仕事における改善の方法についても勉強しているため、この授業はそこにもかなり関係していて面白いです。

GER102 Beginning German II
先学期に引き続き、今学期もドイツ語を履修しています。早速初回のテストがあり、まだ返却されていませんが、なかなか手ごたえがありました。先学期履修してみた感想としては、ICUで履修していたフランス語より簡単に感じました。これが言語の違いによるものなのか、学習法の違いによるものなのかは明らかではないですが、授業で使用しているテキストがかなりわかりやすい気がします。また、ヨーロッパの言語は日本語で学ぶよりも英語で学んだ方がわかりやすいと感じています。今学期の課題としては、まだリスニングがあまり得意ではないため、聴く機会を増やさなければいけないことと、これはヨーロッパ言語では共通ですが、名詞の性別をもっと覚えることです。

CS105 Intro to Computing for Non-Tech Majors
なんと今学期はComputer Science(以下CS)の授業にも挑戦しています。私はフィルムカメラを使ったり、運転はマニュア車を好んだりと、アナログが好きな人間で、今までコンピュータ系のものは避ける傾向にありましたが、社会に出て将来やりたい分野を考えると、コンピュータについての知識は多少持っておかなければいけないと考え、ついにCSの授業を履修するに至りました。また、イリノイ大学はコンピュータ系が特に強いということもあり、せっかく来ているのだから学んでおきたいということ、心理学で統計ソフトなどを使う機会が増え、案外面白いのかもしれないと思うようになったことも理由です。CSの授業というと、とても厳しく皆徹夜しながら課題に苦しんでいるというイメージですが、僕の履修しているこの授業は文系学生向けのイントロのクラスということで、今のところは大丈夫そうです。現段階ではエクセルの基礎をやっており、心理学で一通り学んだため問題ありませんが、これから本格的にプログラミングが始まるとのことなので、どうなるか期待と不安とが入り混じっています。イントロのクラスで学べることは限られているとは思いますが、このクラスの目標が"Learning to Think Like an Engineer via Computer Science"ということなので、このクラスを通じて今までとはまた違った視点が得られればなと思います。

3. 日本館イベント進捗状況:

私たち42期奨学生が企画した日本館でのイベントが2/11に開かれます。今年のテーマは日本のお弁当で、おにぎりを参加者の実際に握ってもらうなど参加型のイベントです。最近はイベント直前ということで、朝の8時から授業前にミーティングを行うこともあります。すでにイベントのチケットは完売しているため、来てくださる方を楽しませられるように、残りの準備をぬかりなく行っていきます。こうしてイベントが行えるのも日本館館長のジェニファーさんを始め、サポートしてくださる関係者の方々のおかげです。イベントについては開催後、またどこかで報告させていただきます。

4. 冬休みなど:

・寮について
私は学内の、Pennsylvania Street Residence Hall (通称PAR)という寮に、夏にこちらに着いた時から住んでいます。ルームメイトがいた方が最初は何かと安心だろうと考えてこのPARを選び、当初の予定では秋学期が終わって慣れた頃には一人部屋のSharman Hallに移るはずだったのですが、ルームメイトや同じフロアの友達に引き止められ、結局今学期もこのままPARに住むことになりました。私以外のJIC奨学生はみなSharmanに移ってしまったため少し不便であったり、地理的にも不便であったりしますが、多様なバックグラウンドの友達と交流できること、朝起きてすぐにダイニングに行けることなどメリットが多いため満足しています。寮の友達とは秋学期は映画を観に行ったり、Green Street(学内の繁華街)にご飯を食べに行ったりしました。そして今学期も早速、なんと13人という大人数で日本食を食べに行きました。ルームメイトがフロアの人たちを誘ったのですが、こんなに大人数になるとは思いませんでした… しかし、みな日本食を楽しめたので結果オーライです。


(写真1:寮の友達と日本食。Sushi Rockというかなりアメリカンな名前の店ですが、味はかなり日本的で美味しかったです。)

・日本館関連
先日掲載の活動報告書でも触れましたが、私が日本館で習っているお茶のクラスで、年の最初の茶事である、「点初め」(たてぞめ)が行われました。懐石を軽くしたものである点心に始まり、炉に炭を入れる炭点前、濃茶席、最後に立礼で薄茶をいただきました。前日に料理の準備があり、私もそこで栗きんとんを作らせていただきました。そして、今年の毎週の稽古もスタートしました。あと3ヶ月半ほどしかありませんが、貪欲に吸収して、和のこころについての学びをさらに深めていこうと思います。


(写真2:栗きんとんを作っているところ。毎年日本でもお正月に栗きんとんを作っています。)

・夕食会
1月22日、イリノイ大学の名誉教授である佐藤昌三先生のお宅にお招きいただき、夕食をいただきました。佐藤先生と奥様のアリスさん、アリスさんのお兄様のジョージさん、郡司先生、そして私たち奨学生4人で食卓を囲みました。おせち、お雑煮、焼き魚など本格的な日本食と美味しい日本酒をいただき、とても幸せになりました。また、佐藤先生の墨絵や書道の作品もいくつか見せていただきました。

・東海岸旅行
冬休み中は基本的に寮に滞在できないため、東海岸に旅行にいきました。まずはワシントンDCまで飛び、各地3、4泊しながら、DCからフィラデルフィア、ボストン、ニューヨーク、再びDC、そしてピッツバーグへまわり、シカゴに帰りました。各都市の移動は基本Amtrak、一部飛行機を利用しました。イリノイ大学にいる日本人留学生の多くはマイアミやカリフォルニアなど暖かい場所に行ったのに対し、なぜわざわざずっと寒いにところにいたのかということですが、ニューヨークを始めとする東海岸の都市を回ってみたい願望があり、春休みはあまり時間がないことから今回訪れました。中でもニューヨークが一番面白く、見るものが尽きずとてもまわりきれませんでしたが、その中でもミュージカルの本場のブロードウェイで念願のオペラ座の怪人が見られたことと、ワンワールド・オブザバトリーからの夜景が見られたことがとても良かったです。


(写真3:ブロードウェイ、マジェスティックシアター。)


(写真4:ワンワールド・オブザバトリーからの夜景。)
一概に東海岸の都市といってもかなり違うもので、ニューヨークの治安についてはかなり警戒していましたものの、ニューヨークは観光客が多いということもあり、想像していたよりは安全な印象を受けましたが、ワシントンDCの方が逆に危険な印象を受けました。また、フィラデルフィアは移動の地図上にあったためなんとなくプランにいれたものの、実際に行ってみると美術館やマーケットなど魅力的な場所が多く、これはまた行かないといけないなと思いました。ボストンは秋休みのボスキャリでゆっくりまわれなかったためのリベンジでした。どの都市でも博物館にたくさん足を運び、ゴッホの星月夜など「写真では見たことがあるこれが本物か!」という絵に何枚も巡り会えました。


(写真5:Amtrakの車窓から。ちょうど寒波が来ていて、吹雪いている時もありました。)
また、ピッツバーグでは、高校生の時に1ヶ月日本でホームステイの受け入れをした友達に4年ぶりに会い、5日ほど滞在しました。最初は久しぶりに会うということで少し緊張していましたが、ピッツバーグの街に出かけたり、夜中までゲームをしたりと、実際に再会してからは楽しい時間がとても早く過ぎ去って、お互い高校の頃から変わったことなどたくさん話し合い、外国の友達と長年にわたって交流できることの素晴らしさを実感しました。


(写真6:4年ぶりの再会。とても充実した5日間でした。)
今回の冬休みは人生で初めての日本を離れての年越しでしたが、思う存分楽しんで、期末で疲れた頭を休めることができました。


この留学も残すところあと3ヶ月半ほどとなりました。今学期は秋学期より履修している授業数も多いため、よりハードになるとは思いますが、さらに力を入れて学んでいきたいと思います。最後になりましたが、私たち奨学生をサポートしてくださる皆様にあらためてお礼申し上げます。日本もまだ寒いようですので、お体にお気をつけください。