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米国イリノイ大学へ!41年の歴史ある奨学制度を未来に引き継ごう!

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米国イリノイ大学へ!41年の歴史ある奨学制度を未来に引き継ごう!

福田健太さんの2018年1月奨学生レポート

JICのみなさま、ご無沙汰しております。第42期奨学生で、イリノイ大学でLiberal Arts学部のEconomics Majorに所属している福田健太です。
早くもイリノイ大学では春学期が始まり、始まる前はとても長期に感じた留学生活も折り返し地点にきてしまいました。今回のレポートでは、秋学期の総括、冬休み、今学期の授業の大きく3つについて書いていこうと思います。


秋学期の総括(授業)
まずは秋学期は、
ECON303 Intermediate Macroeconomics
ECON490 History of Modern Economic Thought
PHIL106 Ethics and Social Policy
PS270 Introduction to Political Theory
の4つの授業を履修していました。

ECON303 Intermediate Macroeconomics
 この授業は、標準的な学部レベルのマクロ経済学の代表的なモデルを学ぶ授業です。もともと日本では法学部に在籍しており、経済学をしっかりと勉強するのは初めてだった私にとって、力を入れた授業の一つです。
一学期受けてみた感覚と、日本で経済学部に在籍する友人の話や教材を比べてみると、①数学的な厳密さよりも、実際に数字をモデルに当てはめて計算することに重点を置いていること、②いわゆるミクロ的基礎づけに重きを置いていることの二つが特徴として挙げられるかと思います。一つ目については、数学的に少し複雑な計算は授業では扱わず、結果として現れる式の意味を説明するだけに留めており、テストもモデルの理解を問うものではなく、具体的な数字が与えられ、それをモデルに当てはめて計算をするというものでした。それなので初学者の私にもわかりやすく、最初にとる授業として最適な授業でした。二つ目については、ミクロ(一消費者や企業など個々のアクター)の選好に基づいて一国の経済などのマクロを説明するという方法論で、現在の経済学における主流の考え方のようです。授業は一貫してこのミクロ基礎づけの観点から説明されており、それとは体系を異にするIS-LMモデルなど、おそらく日本で誰もが勉強するようなモデルはほとんど触れられることはありませんでした。もしかすると、1年生に向けたマクロ経済の授業ではこれらも範囲に入るのかもしれませんが、やはりアメリカの方が学会の主流に強い影響を受けているのかもしれません。
経済学部から交換留学等に来られる人は、日本でしっかりとマクロを勉強したなら、この授業を取るよりも400番台の応用科目を取る方が適しているかもしれません。逆に私のように経済学にあまり触れたことの無い人でも十分ついていける内容ですし、理解の自信が無い人の復習にもいい授業かと思います。

ECON490 History of Modern Economic Thought
 ECON490という番号が振られた授業は実は複数あり、Topics in Economicsという科目名の元、Ph.D取得直前の博士課程の学生や、取得直後のAssistant Professorなどが、それぞれの専門に特化した応用科目を開講しています。大学院との接続に活きる数理的な応用科目から、この授業のような数学とは無縁の学問史まで幅広いトピックがあり、教える学生も自由度の高いテーマ設定からモチベーションが高いことが多く、履修の際は一度は目を通してみることをオススメします。私はその中で、数学を使った主流派の経済学にどっぷりと浸かる前に、どのような歴史を経て経済学が進展してきたのかを知りたいと思い、こちらの経済思想史の授業を履修しました。
内容としては、アダムスミス以前の「重商主義」や「重農主義」などから、現代経済学の基盤になっている「合理的期待形成仮説」までという非常に長い期間をカバーしており、毎回50~100ページほどの経済学における古典を読んでいくというややハードな授業でした。しかし、膨大な原典に触れることで、現在市場の価格メカニズムへの言及として使用される「神の見えざる手」という表現は、そのような意味で用いられていないこと、ケインズの主張といわゆる「ケインジアン」の主張の相違など、通俗的に語られる誤解を解いていくことができました。当然膨大な古典を全て理解することは難しく、まだまだわからない部分もたくさんありますが、現在の経済学における「当たり前」とされていること(何を目指すべき価値とするか、など)はずっと当たり前であり続けたわけではなく、歴史の中で変化を遂げてきたのだということ、また過去の全ての業績の継承と批判の上に現代の体系が成り立つという単線的な歴史を経済学が踏んできたのでは無いのだということがわかり、これから経済学を勉強していくタイミングで勉強できてよかったのではないかと感じています。経済思想の本や授業だと、スミスやマルクス、ケインズなど、過去の偉大な思想家に重きが置かれることが多く、あくまで過去の業績として触れることで、現在ちょうど学校で勉強するような理論との接続が見えにくくなってしまうということがありうるのかなと思いますが、比較的現在に近い学者の業績にも触れられたことで、マクロの授業など今勉強していることとの接続が見やすく、面白く受けることができました。

PHIL106 Ethics and Social Policy
 こちらは、実際の社会問題を題材にした倫理学者の議論を読み、それに対する反論を自ら考え出すことで、哲学的な議論のコツを学ぶ、という授業でした。扱う問題は、環境問題、銃規制、格差や表現の自由など本当に幅広く、基本的に1つのテーマに対して、考えの異なる複数の学者の意見を具体例と共に勉強することになるので、100番台の割にとても実りの多かった授業だと感じています。
もともと、世の中にある様々な問題に対して、社会科学のような「どうなっているか、何をしたらどういう結果が得られるか」という実証的な問いではなく、「どうあるべきか、どうすべきか」という規範的な問いへの考え方が知りたくて履修を決めました。それに対する専門的な深い理解が得られたわけではありませんが、実際に世の中で起きている問題の現状と、それに対する賛否について幅広く触れられたので、満足のいく授業でした。

PS270 Introduction to Political Theory
 名前からは少しイメージが湧きにくいですが、これは日本でいう「政治哲学」の授業です。「自由」と「平等」という政治において重要な二つの概念と、両者の関係性について、先人たちの業績を参照しながら自分なりの考えを作り出す、ということが目的とされています。この二つの概念について理解し、自分なりの考えを持つことで、現実の政治に対しても、床屋談義的な場当たり的なものではなく、自らの価値観によって良悪の判断ができるようになるが、一朝一夕で作り上げられるものではないため、古典的な業績に学びながら、訓練をしていくことが必要とのことでした。マテリアルとして、功利主義や社会契約説、ロールズの『正義論』など有名な政治哲学の理論が扱われていました。特に印象に残っているのが、学期の後半に課された、ロールズの『正義論』に書かれている「自由」と「平等」の定義、両者の関係について記述し、学期の初めの方に自分で考えたこれらの定義をコピペしてその下に貼り付け、ロールズの定義と比べることで自分の定義がどんな問題を抱えているかを論じよ、という課題です。有名な本や論文を読むときには、例えば「無知のヴェール」や「格差原理」というような有名な概念やフレーズについてどこかで聞いたことがある場合も多く、普通に読んでいるだけでは、「ふ〜ん、なんとなく知ってるわ」という態度をとってしまうことも多くありました。なので、一度自分の力で悩み抜いて考えたものと偉大な業績を比べるというこの課題に取り組んでみて初めて、何気なく書いてあるこの表現がここに配慮していたのか!自分では思いつきもしなかったこんな場合についても考えているのか!といった、古典が古典として読み継がれる由縁の一端を感じ取ることができたように思います。

まとめ
ここまでほとんど肯定的な評価を書き連ねた通り、全体的にとても満足度の高い履修ができました。最後の最後でFinal Paperを消化不良のまま提出してしまった後悔などは少しありますが、学期の初めに抱いていた期待感にそぐわないものを学ぶことができたように思います。

冬休みについて
冬休みは極寒から逃れようと、ギリシャとマルタ共和国という南欧の二カ国にいっていました。両国ともに歴史の深い街であり、遺跡などを巡りました。ずっと課題や試験勉強に追われていた生活から離れ、比較的ゆったりと過ごすことができ、将来のことや次の学期の過ごし方について、ゆっくり考えることができました。

ギリシャ
ギリシャ滞在中はずっとアテネにおり、あまり遠出はせずにアテネに残る遺跡や博物館などを訪れて周りました。言わずと知れた民主主義発祥の地であるアゴラ、ギリシャといえばコレ!という感じのパルテノン神殿など、教科書でみたことあるような場所を見ることができて、感動的でした。街全体が真っ白い建物で有名なサントリーニ島や、古代の宮殿が残るクレタ島にも行きたかったのですが、冬の間はフェリーが出ておらず、飛行機でしか行くことができないようで、予算の関係から泣く泣く諦めました。しかしギリシャは物価がとても安く、その上気さくでサービス精神の旺盛なので、食事にお金がかからない上に無料でサイドメニューをサービスしてもらったりと、経済大丈夫か??と心配になるほどでした笑。


写真1 パルテノン神殿(工事中でやや残念な感じでした..)


写真2 古代ギリシアで演劇が行われたデュオニュソス劇場

マルタ
イタリア、シチリア島の南に位置する小さな島国です。十字軍の時代に、宗教騎士団の一つである聖ヨハネ騎士団が拠点とした島で、当時の要塞都市が今も残っています。(なんとこの騎士団も、医療団体へと形を変えて現在まで存続しているのだそうです!)
首都のバレッタは新たに建設された都市で、街全体が世界遺産として登録されています。滞在中は、バレッタと湾を挟んで向かいにあるスリーマという街にいました。ヨーロッパではバカンス先として有名なようで、ギリシャに比べ物価は少々高かったのですが、イリノイ大学周辺にはあまりないイタリアンを美味しくいただくことができました。


写真3 マルタの首都バレッタ


写真4 城塞都市である古都イムディーナの異常に狭い道

今学期の授業について
今学期は、経済の授業を3つとその他の科目を2つ履修しています。簡単にどんな授業かをそれぞれ紹介したいと思います。

ECON302 Intermediate Microeconomics
 秋にマクロをとったので、今学期はミクロを勉強しています。教授は説明がとても丁寧で、具体例などを交えながら教えてくれるため、初学者の私に取っても大変わかりやすい内容です。例えば以下の写真にあるように、1時間にいくら貰えばバイトしたいかを学生に挙手させることで、実際に供給曲線を描いてみる、というように、学生を参加させることでより簡単な言葉で数式の説明をするというような工夫がされた、良授業だと思います。


写真5 ミクロ経済の授業風景

ECON471 Introduction to Applied Econometrics
 こちらは、計量経済学についての入門授業です。実はこの授業は、履修条件としてECON203の統計の授業を履修済みである必要があり、初回の授業ではそれをまだ取っていない人はこの授業を受けるレベルに達していないのでドロップしてください、と念を押されました。しかし経済学を勉強する上で、どうしてもアメリカ留学中にこの授業を履修したかったので、こっそり履修を続けています。私はECON203はおろか今まで統計学を全く勉強したことがないため、初めて聞く概念や、周りが当たり前のように使う統計ソフトを1から独学で勉強するのはとても大変ですが、頑張ってついて行きたいと思います。

ECON490 Economic Growth and Business Cycle
 秋学期も履修していたECON490ですが、内容は異なり今学期は上級マクロとなっています。(システム的に490の科目はなんども履修できるようです。)
前の学期のマクロで良い成績を取ることができたので、もっと発展的な内容が知りたいと思い履修しています。授業も周りの学生もECON303とは比べ物にならないくらいレベルが高く、授業について行くのがやっとですが、こちらもなんとか食らいついて行きたいと思います。

HIST141 Western Civilizations; Origins to 1660
 怒涛の経済科目の息抜きがてら、歴史の授業を履修しています。実は冬休み中に遺跡など多くの歴史的な場所に足を運んで、ヨーロッパの歴史についての興味が湧いて急遽履修することを決めました。高校での歴史の勉強とは違い、授業では「なぜ」この出来事が起きたのか、他の地域との違いはどんな部分で、それは何によるものか、といった問いに対する答えを歴史に求めるため、暗記ではない楽しさがあります。

ESL110 Pronunciation and Oral Fluency
こちらは単位がつかないInternational Student用の、英語の会話と発音に関する授業です。4科目では余裕があると思い(完全に読み誤りました....)、せっかくの留学なのでより英語のレベルをあげたいと思い取ることにしました。授業では、ノンネイティブが発音しにくい音や意識する必要のあるアクセントについて、理論的な説明と学生みんなで参加するゲームによる実践を通して学んで行く授業です。クラスは少人数で、アウトプットの機会も多く、楽しみながら続けています。

まとめ
 このような感じで今学期を過ごしております。ちょっと背伸びをして履修した経済科目のおかげで、秋学期に比べてさらに勉強の密度が濃い生活になっています。次回の奨学生レポートでは、数ヶ月受けた授業の途中経過や感想(そして無事私は授業について行くことができたのか)、や勉強以外の学生生活について書きたいと思います。
 寒さも一層厳しくなってきましたが、体調を崩さないようにしつつ残りの留学生活を悔いの無いように過ごそうと思います。皆様も、お体に気をつけてお過ごしください。