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今年もチャレンジ!40年以上続いている歴史ある米国イリノイ大学の奨学制度を、未来に引き継ごう!

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今年もチャレンジ!40年以上続いている歴史ある米国イリノイ大学の奨学制度を、未来に引き継ごう!

南部俊人さんの2017年9月分奨学生レポート

皆様こんにちは。第42期小山八郎記念奨学生として現在留学中の、国際基督教大学教養学部3年の南部俊人と申します。心理学を専攻しており、こちらでも心理学を中心に勉強しています。

① 到着までのいきさつ
② 授業について
③ その他課外活動や生活について
という三つの内容について書いていきたいと思います。

① 到着までのいきさつ

 8月16日の朝にシカゴに到着しました。入国というと、過去に初めての海外でロストバゲージしたり、前回の訪米で長時間並んだ上に入国審査官と一悶着あったりと、あまり良いイメージがなくて初の一人海外で不安で仕方なかったのですが、今回はちょうど国際線の到着便が少ない時間帯だったため空いており、見た目の恐い入国審査官にイジワルな質問をされることもなく、荷物の受け取りもスムーズで、税関も良い加減で、過去最速でゲートを抜けることができました。
 私は昨年、所属する団体の中高生対象の一ヶ月ホームステイプログラムの引率でイリノイ州を訪れており、滞在中私自身も二軒にホームステイをしておりました。学期が始まる前に少しでもアメリカの生活に慣れるために、去年のホストファミリー宅でお世話になります。一軒目のホストファミリーの住んでいるBloomingtonという街までは、オヘア空港から国内線を乗り継ぎます。過去最速で入国したものの、かなり余裕を持って国内線を予約していたので、五時間近く暇を潰さなければいけませんでした。睡魔で待ちぼうけて乗った国内線は、小さなオンボロ飛行機、座席の足元から蒸気(?)のようなものが出てきます。「まさか外気が入って来ている?」と思いましたが、それはどうやら冷たすぎるエアコンの風だったようです。それにしても小さな飛行機は風に舞う木の葉のように揺れて、目的地に着くまでの一時間はドキドキの体験でした。
 去年の1軒目のホストファミリー宅では二泊しました。一人異国の地ですが、知り合いに温かいハグで迎え入れられるとホッとします。私が泊まった時はちょうど家の内装を丸ごと自分で直している最中で、さすがアメリカ、DIYの本場なだけあるなと感じました。私はここ一年、大学の劇団で大道具をやっていたので負けるわけにはいかんと、本場のDIYを体験するべく、早速戦力となりました。二泊はあっという間に過ぎ、続いて二軒目のホストファミリー宅に移動します。二軒目のホストファミリー宅では四泊しましたが、そのうち一泊は隣の州の州都、インディアナポリスにあるホストファミリーの友人の家に泊まりました。二軒目のお宅はキャンパスから三十分ほどのところにあり、コーン畑に囲まれた田舎町です。田舎町でたっぷりくつろいだ後、キャンパスに入りました。

② 授業について

 アメリカの大学は日本の大学に比べ(私の大学の規模が小さいため特になのかもしれません)授業の種類がとてつもなく多いです。また、授業を追加したり落としたりできる変更期間も長いため、どの授業を取ろうかかなり迷うのが正直な所です。オンラインで履修変更を行うのですが、定員に達している授業を取るのはなかなか大変です。数分毎にパソコンを見て、空きがでていないかをチェックします。空きが出た瞬間に履修登録して滑り込みます。私はこの方法で3クラスほど登録しましたが、なかなかスリリングで楽しいです。アドバイザーにも履修科目を相談し、追加したり落としたりというプロセスを経て、最終的に今学期履修することになったのは以下の四つのクラスです。

PSY336 Stress and Resilience in Childhood

 授業のタイトルの通り、子供のストレスについて、そしてそれに伴う心理的症状について学んでいます。ストレスの原因として今までの授業で取り上げられているのは、虐待、貧困、トラウマ体験などです。貧困については、かなり細かい定義から学び、アメリカ国内での貧困状況と貧困で育った子供の心理的問題について学んでいます。今まで日本ではここまでしっかりと貧困にフォーカスしたことがなかったため、いかに自分が恵まれているのかに気付かされます。また、授業でも出てきたのですが、日本と比べてアメリカの方が貧富の格差が大きいということもあり、国内では深刻な問題であるため、こういった授業が積極的に行われているのかなと感じました。

PSY324 Developmental Psychopathology

 最初にこの授業の名前を知った時は「ん?サイコパス?」と思いましたが、Psychopathologyは日本語にすると精神病理学、すなわち精神疾患のメカニズムを理解し、経過を調べる学問です。この授業も主に子供に焦点を当て、発達の観点から学びます。最初の約一ヶ月は、精神疾患が起こるメカニズムの概要や、それについて調べるための研究方法について学び、その後の期間は、自閉スペクトラム症、不安障害、ADHDといったそれぞれの症状をさらに深めていきます。PSY336の授業内容とは多少重複する部分があるのでが、精神疾患のメカニズムのところで、物事の因果関係について深く考えるように教えられました。例えばA:「貧困家庭で育つこと」とB:「子供のうつ病になる」に因果関係がある場合、その二つの要素の間には、どんな力学が働いているのかを深く考えます。どのような要素がAからBへの流れを加速させ、または食い止めようとするのか、また、どういった細かい理由でAはBに向かっていくのかを意識します。

写真1:カフェでテスト勉強


GRM101 Beginning German

 こちらに来てから新たにドイツ語を始めました。日本の大学では、フランス語を少しだけやっていたのですが、こちらで上のレベルに行くほどでもないし、同じレベルをやっても日本で単位認定されない可能性もあるので、フランス語は履修しませんでした。卒業後に自動車産業に関わりたいと考えているため、多くの企業の開発拠点であるドイツについて少しでも理解できたらという思いがあり、寮の友達数人が、「ドイツ語はもっと英語に近くて似ている単語もあるし、フランス語や他の言語よりずっと簡単」と言われたことで背中を押され、ドイツ語を履修するに至りました。授業が始まって約一ヶ月経った現状では、フランス語より手応えがいいです。発音は少し難しく、他のヨーロッパの言語と同様に男性名詞女性名詞などを考えるのは厄介ですが、地道に頑張っています。

ART151 Black and White Film Photography

 アート系の授業も履修しています。七人の小さいクラスで、デジタルではなくフィルムカメラ、それもカラーではなくモノクロフィルムを使う授業です。今の時代、スマホを取り出してボタンを押すだけで綺麗な写真をいくらでも撮れますが、フィルムであるが故の限られた枚数で何を撮るか、シャッターの速さとレンズの開き具合を調節していかに適切な明るさで撮るか、手動のピントをいかにぴったり合わせるかなど様々なことを考えながら写真を撮っていくのはとても複雑です。しかしその分、綺麗に撮れた時の喜びが大きいです。撮影を終えたフィルムは薬品につけて現像し、ネガの状態にします。次に印画紙にネガを通した光を当てて、印画紙を薬品につけることで、いわゆる「写真」の状態がやっと出来上がります。今は家庭でも簡単に写真プリントができますが、かつてはこの手法で写真屋さんがひたすら焼いていたのかと思うと、その手間は計り知れません。

写真2:現像した写真と使っているフィルムカメラ


 アメリカの授業は、日本と比べると学生がどんどん発言しています。教授が話している英語は理解できるのですが、発言する学生が早口だったり、もごもごしゃべったりするので聞き取るのが大変です。最近はだいぶ慣れてきましたが、先週は多くの授業で中間試験や課題提出があり、ハードな週でした。

③ その他課外活動や生活について

Japan House Matsuri

 キャンパスに到着してから数日で、Japan Houseの最大のイベントであるMatsuriがありました。一日で数千人が訪れる大規模なイベントで、茶道、着物、折り紙、鎧兜などの体験や、書道や太鼓のパフォーマンス、そして日本食の露店が立ち並びます。私たち小山八郎奨学生も浴衣を着てお手伝いさせていただいたきました。主に折り紙のコーナーを担当し、子供達に大人気でしたが大人にも人気で、五時間以上折り紙をひたすら折っていました。用意していたのは、紙風船、兜、鶴、蝶などで六種類ほどだったのですが、子供達みんな一番難しい鶴に挑戦したがるので教えるのが大変でした。最初に角を揃えるのが肝心なのに、最初から折り目がずれていて、言っても直してくれません…ですから完成したものは必然的にぐちゃぐちゃになってしまいます。そんな状況でしたが、たくさんの人と折り紙を通じて交流でき、とても充実した一日となりました。一緒に折り紙を折ったボランティアの方々や、飛び入りで手伝ってくれた他の交換留学生たち、運営してくださるJapan Houseの方々、そしてなにより当日来場してくれた方々に感謝しています。

写真3:Matsuri終了後、第42期奨学生集合


Tea Ceremony Class

 Japan Houseで毎週木曜に開講されている、茶道の授業を受けています。私がどのように本留学制度を知ったかという話をすると、昨年、前述したホームステイプログラムの引率中に、日本館の郡司先生と知り合いだったホストファミリーが私を日本館に連れいってくれたことが始まりです。そこで先生がお茶を点てくださり、本留学制度を紹介してくださいました。日本館を訪れた際、イリノイ大学にはこんな施設があるのか!と心を動かされ、日本館の活動に積極的に関わりたいと思い、こちらでお茶を習うにも至りました。週に一度、畳に座ってキャンパスの喧騒から離れて過ごすのはとても心地の良い時間です。こちらに到着して数週間は、様々な団体が主催するイベントが盛りだくさんでしたが、最初の日本館での茶道のクラスでいただいたお茶ほど、心がこもってwelcomeされているなと感じるものはありませんでした。私は、中学高校時代に少し茶道を習っていましたが、こちらは裏千家なのに対して表千家だったことと、一からあらためて学びたいということでビギーナーとしてお稽古に参加させていただいています。大学生になってから再び習ってみると、かつては気づかなかった自分の作法の癖や新たな発見が多くあります。また、クラスの時には美味しいお菓子が食べられるというのも私にとっての大きな魅力です。私は和菓子、餡子の類が大好きなのですが、アメリカで美味しい和菓子が食べられるとは予想していなかったので、とても幸せです。

写真4:茶道の授業


写真5:茶道の授業後に友達とインドカレー



サークルなど

 勉強がかなり忙しいのでサークル活動には少ししか関わっていませんが、Illini Automotive Clubというサークルに顔を出しています。クルマ好きが集まるサークルで、週に一回学内の駐車場にクルマを持ち寄ってクルマ談義に花を咲かせたり、ドライブに行ったりと、割とゆるゆるとしたサークルです。まだ私はドライブについて行ったことはないのですが、クルマを持っている人が多いため、持っていなくても乗せて行ってくれます。また、今まであまりしたことがないのですが、クルマいじりをするチャンスもあるかもしれないので、それに期待しています。
 Japanese Conversation Tableという団体にも少し顔を出しています。日本語を学んでいる人たちが集まるサークルで、よく一緒にご飯に行ったり、アイススケートに行ったりしています。日本語が堪能な人が多く驚き、私も英語で負けていられないなと感じました。時には日本語のレポート課題の添削を頼まれ、原発の功罪について英語と日本語混ぜこぜで二時間近く議論を交わし、その後は頭の中が二つの言語で混乱してしまうなんていうこともありました。やはり日本に興味がある人が集まっているので、私たち日本からの留学生にとても親切にしてくれます。

その他生活のこと

 私たち42期奨学生は二つの寮に分かれているのですが、なんと私の住んでいる寮はエアコンがついていないのです。そのことを知り入寮前には少し憂鬱になったり、寮に着いた初日は、入った瞬間にモワッとした空気に体を包み込まれて、これでやっていけるのか?と心配になったりしましたが、人間意外と環境に適応するようで、すぐに慣れました。アメリカの室内は、エアコンがガンガン効いていて凍えるような部屋も多いため、窓を開ければ風が入ってくるこの寮はかえって居心地がよく、体にも負担がかからない気がします。ひとたび他のエアコンの効いた建物に入ると逆に寒さに嫌気がさし、「これだから地球温暖化が進むんだ…」とエアコンを心の中で悪者扱いすることもしばしばです。エアコンはないですが私の寮は食事がおいしいと評判です。「アメリカに来たら肉とピザしかないのかな…」という私の予想に反し、料理のバリエーションが多く、野菜も毎日食べられます。しかし、だんだんと日本食が恋しくなるもの。そんな時は持ち前のアイデアを使い、ダイニングで即席日本食を生み出して乗り切っています。タコスの具と白米でタコライスを作ったり、ポン酢があったのでオリーブオイルと和えて和風ドレシングを作ったり、麺と具材を炒めてくれるコーナーがあるのですが、醤油とうどんで焼うどんを作ってもらったりと、日本食らしきものを食べて生き延びています。
 私のルームメイトのMoonは韓国人で日本語も少し話せます。年上で面倒見が良く、面白いことに巻き込んでくれます。私たちの部屋は当初、ベッドが両側の壁に並んでいて狭い印象だったのですが、「ベッドを動かしてもっと広くしよう!」との彼のアイデアでベッドを部屋の隅に移動したところ、部屋に広いスペースができ、テレビも置くことができました。彼は今後、ソファを置くことも考えているようです。彼のような行動力が欲しいです。

番外編、ツッコミどころの多さ

 アメリカにきて思うことは、別に私は関西出身ではないのですが、ツッコミどころがかなり多いなということです。効率を重視するアメリカ、という印象でしたが、混雑時の飲食店などは非効率そのものです。また、中まで人が立って満員になる学内を走るバスは、車両中央のドアが満員の車内の内側に向かって開きます。運が悪いと挟まれそうになります。「なんでそれを考えないのかな…」と感じることが多いです。バスはかなりツッコミどころが多いです。人が降りる前に我先に乗り込む人々、毎日のように曲がり角で後輪を乗り上げる運転手などなど、日本と違うことを発見するのは楽しいです。講義中に私の後ろで、ご飯をむしゃむしゃと食べているくせに、突然賢そうな質問を教授にする奴、金曜夜に路上でクスリをやっている奴、いろいろな人間がいます。少し汚い話で申し訳ないのですが、トイレの使い方も適当な人が多いと感じます。流れていない確率が日本より高く、一番困ったのは、no.1用の便器が二つあるのに、一つしかない個室でno.1を足す男…それもドアを全開にした状態です。これにはさすがに困りましたが笑いそうになり、アメリカに来てから一番のツッコミどころでした。これからまたどんなツッコミどころのあるシーンが私を待ち受けているのかと思うと、さらに今後の生活が楽しみになります。


最後になりましたが、私たちを支援してくださる皆様、この場をお借りしてお礼申し上げます。今後とも全力でこの留学を充実させて参りますので、よろしくお願いいたします。

2017年9月30日
第42期小山八郎記念奨学生 南部 俊人